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2017年 8月 6日 息子が増えました

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From:岸美帆
自宅ログハウスのリビングより

 

 

今から9年か10年前ほど前の
ちょうど今と同じ夏休みのことです。

チュニジアから17歳の男の子が
2週間の予定でホームスティにやって来ました。

ここでは彼をYと呼びます。

チュニジアは地中海を挟んでイタリアの向かい側にある
アフリカ大陸の国です。

これまでもホームスティの受け入れをしてきましたが
2週間という長期は初めてです。

しかも、我が家の子供達が
やっと一番上の子が小学生になったばかり。

2週間といえども
いきなり17歳の子の母親になるわけです。

私はこれまでのどの受け入れよりも
気合が入っていました。

 

Yがやってきたその日の夜、
私はYに聞きました。

「日本で何をやってみたいの?」

Yは英語で答えました。
「わからない」

私は耳を疑いました。

チュニジアの公用語は
アラビア語とフランス語です。

アラビア語とフランス語が合わさると
英語の「わからない」と聞こえるのでしょうか。

私はもう一度聞きました。
「日本でしてみたいことは何?」

「I don’t know」
明らかにYは「わからない」と答えています。

私はちょっとムカついてきて
さらに彼に質問しました。

「じゃあ、あなたはどうして日本に来たの?」

「お父さんが行けっていうから」

私の中で怒りメーターが振り切れました。

チュニジアから日本へ来るためには
親は相当な金額を支払っていることでしょう。

息子の成長に役立つことを期待して
親は送り出しているはずです。

そんな親の気持ちも知らずに平然と
「わからない」と繰り返すYに腹が立っていたのです。

そういうのを日本では
「親の心子知らず」っていうのよ。

私は心の中でそう怒鳴っていました。

そして、私はこう思いました。

私がチュニジアの両親に代わって、
Yの成長に有益な経験をさせてあげなければならない。

 

次の日の朝。

朝というよりもYが起きてきたときには
もうすでにお昼を過ぎていました。

ぼーっとするYに私は言いました。

「あなたが日本でしたいことはできる限り叶えてあげる。
だから、今日1日をかけて日本で何がしたいのかを探しなさい。」

眠そうだったYの目が開き
だんだんと輝いてきました。

そしていきなり私に飛びつき
強烈なハグをして叫びました。

「ありがとう。ありがとう。ママ。
ありがとう。ありがとう。」

アフリカ人のストレートな感情表現に
奥ゆかしい日本人の私は完全に面食らっていました。

何とか平成を装って
私はYに聞きました。

「どうやって調べたいの?
ネット?図書館?」

すると彼は意外にも
図書館に行きたいと言いました。

こうしてYの日本での生活は
図書館から始まりました。

 

その日の夜。

食べ盛りの息子が増えたので
私は夕食にいつもの2倍の量の唐揚げを揚げていました。

横で食べ盛りのYが
ぴったりと寄り添っています。

ただでさえ暑い真夏のキッチンで
揚げ物をあげているのです。

17歳の男の子に寄り添われると
暑苦しくて仕方がありません。

私は揚げたての唐揚げを
2、3個お皿に取りYに渡しました。

そしてキッチンから
出て行くように促しました。

Yはお皿をもって、
リビングに向かいます。

やっと動きやすくなる…

そう思った時、

「ママ、これ美味しい」

Yがキッチンに駆け込んできました。

「ありがとう〜」

Yはそう叫んで私に飛びついてきました。

またもや強烈ハグです。
(2回目はもう驚きません)

「気に入ってくれてよかった。
もっと食べる?」

「イエス!」

結局Yはそのままキッチンに居座り
揚げたての唐揚げを次から次へと食べ、
結局ほとんど全部食べてしまいました。

私は夕食用にさらに追加して
唐揚げを揚げることになりました。

 

夕食後。

私はキッチンで後片付けをしていました。

家族はテレビの前でくつろいでいます。

普段と変わらない光景です。

いつもと違うのはYがいること。

そのYがまたキッチンにやってきました。

「ママ」

食器を洗っている私の横に立ち
何やらボソボソ言っています。

途中に「メルシー」というのが聞こえるので
フランス語で何か感謝を伝えていることはわかりました。

一通り言い終えたYは
次に英語でこう言いました。

「ママ、
今日は図書館に連れて行ってくれてありがとう。
チキンがとてもおいしかったよ。
チキンを料理してくれてありがとう。」

毎日のように食事の準備をしてきましたが
日本男児の夫にも子供達にも
こんなにストレートにありがとうと言われた
記憶はありません。

「Y〜」

気がついたら、私はYに飛びつき
強烈ハグをしていました。

 

それから毎晩、Yは夕食後に
「ありがとう」を言いにキッチンにやってきます。

そして私からもYへの「ありがとう」を伝えます。

子供達のいいお兄さんでいてくれてありがとう
朝、ちゃんと起きてくれてありがとう
ご飯を残さずに食べてくれてありがとう
テレビを消してくれてありがとう、、、

それはどれも普段は見過ごしてしまっているような
ちょっとした出来事ばかりです。

ちょっとした出来事を「ありがとう」と相手に伝えた瞬間に
ちょっとした出来事が相手との間で感謝に変わる…。

そしてちょっとした出来事への小さな感謝が積み重なって
私を包み込むような大きな感謝に変わっていく…。

私はそんなことを感じていました。

Yの成長に有益な経験をさせなけらばならないという思いは
私の中から消えていました。

代わりにYとの生活の一つ一つ全てが
Yを含む私たち家族にとって有益な経験であるように感じられました。

大切なことは特別なことではなく
日常の中にひっそりとあるものなのだ

もしかしたらYはそんなことを
教えるために我が家にきてくれたのかもしれない…。

毎年この時期になると思い出す
私のチュニジアの息子Yとの思い出です。

 

 

追伸1、
昨年、Yから突然連絡がありました。
「近くにいるからいってもいい?」
「もちろん。近くってどこにいるの?」
「上海!」
相変わらずアフリカ人のスケール感は
私とは少し違っているようです(笑)

 

 

 

 

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